|
2008.05.01 Thu
GWも半ばとなりましたが、好天が続き、日本アルプスをはじめ各地の山岳地帯では、登山者が雪山登山や山岳スキーに精を出していることでしょう。さて、そのような中、ショッキングなニュースを目にしました。東大スキー山岳部監督の新井裕己氏が五竜岳山頂付近で滑落、死亡したとのことです。以下、4/28付の読売新聞の記事より抜粋。
山岳スキーヤーの新井裕己さん、北アで死亡…捜索ヘリ発見 山岳雑誌等では氏の寄稿した文をよく目にしていました。また、氏は自らの肉体と精神を実験台として、山岳という舞台を研究所として、先進的な登山を精力的に、かつ科学的に追及する方のようにお見受けしていました。とても残念です。24日を下山予定日として、23日にHAKUBA47スキー場から入山するも、無届だったとのこと。恐らくは遠見尾根を辿り、五竜岳山頂へ。五竜岳山頂から武田菱に滑走ルートを開拓する計画だったようです。生前の功績を称えると共に、ご冥福を心よりお祈り申し上げます。 * Laboratorism * Yahoo!ニュース * Yahoo!ニュース 山岳事故 * 読売新聞 * 長野県山岳連盟 |
|
2008.02.12 Tue
八ヶ岳主峰の赤岳山頂直下にある山荘、赤岳天望荘にて一酸化炭素中毒の事故があったようです。山小屋内での一酸化炭素中毒なんて、山岳事故としては珍しい例かな。以下、2/11付の毎日新聞の記事より抜粋。
<CO中毒>登山客15人を病院搬送 長野・赤岳の山荘 今回の一酸化炭素中毒事故は山小屋内で起こったものですが、テント内で一酸化炭素中毒による事故は度々あると聞きます。悪天候時、または低気温時にテント内で、バーナー等を使用し火を焚くことはよくあることです。もちろん、メーカーは室内での火器の使用は推奨していません。特にこの時季のテント泊山行では、暖をとったり雪を融かして水を作ったり炊事を行ったり、テント内で火を扱う機会が多くなります。しかし、同時にこの時季のテントは、内張りを使用したり、結露でテントの内壁が湿気を含んだりすることから、換気性が悪くなりがちです。また、一酸化炭素は無色無臭のため、発生していてもそれに気付くことは困難です。テント内で酸素欠乏症やCO中毒を起こさないためには、ベンチレーターをしっかり確保し、火だけに頼らない防寒対策を考える必要があります。 * Yahoo!ニュース * Yahoo!ニュース 山岳事故 * 毎日新聞 * 赤岳天望荘 |
|
2008.01.24 Thu
冬山シーズン真っ只中、中央アルプス宝剣岳で滑落事故が起こり、2名が死亡。宝剣岳は険しい岩稜が続く滑落の名所で、毎年のように事故が起こっている。山頂付近の千畳敷までは四季を通じてロープウェイが運行され、冬の間でもラッセルを強いられることなく標高2600mの地まで達することができる。宝剣岳付近での滑落事故がこれほどまでに多いのは、アプローチの難度と登山ルートそのものの難度が比例していないから。氷雪を従えた岩稜に容易に近付くことができるから。県警駒ヶ根署や中ア遭対協は事故の未然の防止に努めているが、結局のところ最終判断を下すのは登山者自身、遭難者は後を絶つことはない。以下、1/23付の毎日新聞の記事より抜粋。
宝剣岳の2人遭難:男女、遺体で発見 防寒着破れ、滑落激しく /長野 別の記事によると、遭難者の男性は登山のベテランだったものの、女性は登山初心者とのこと。女性が初心者だったため、男性の判断でアンザイレンし、コンティニュアスで行動していたものと思われる。(アンザイレンとはパートナー同士が自身の体を互いにザイルで結ぶこと。コンティニュアスとはアンザイレンの状態で全員が同時に登降すること。一方、1人が登降する間、他はその人を確保するのはスタカット。)まず女性が足を踏み外し滑落、アンザイレンしたザイルに引かれ男性も同様に滑落したらしい。コンティニュアス・ビレイは非常に高度な確保技術で、山岳ガイドがクライアントの確保に使用することが多い。あるいは、同等のレベルの登山者が互いの力量を信頼した上で保険的な意味で使用することもある。アンザイレンで結ばれた者たちが同時に移動することから、確保のための時間を必要とせず、スピーディーな行動ができ、お手軽なイメージもある。だが、今回の滑落事故のように、文字通り道連れとなる危険性もある諸刃の剣である。使用方法次第では、ザイルが命綱ではなく、命取りになってしまう場合もあるのだ。 遭難事故を考える時は結果論となってしまうことは否めないが、そもそも遭難の原因はロープワーク云々ではなく、ザイルがあるからといって初心者の女性を宝剣岳に引率した男性の認識の甘さにあるのではなかろうか。登ったことがある者ならご存知だと思うが、宝剣岳山頂付近は足の置き場所を数cm間違えただけで、生命が危険に脅かされる場所。ひとたび強風が吹き荒べば、ベテランといえど滑落の危険性は充分にある。そのような場所に、初心者が足を踏み入れたこと自体が間違いであるように思われる。ザイルは、登れない場所を登らせてくれる魔法の道具ではなく、万一の状況下に生還の可能性を残すための道具であることを決して忘れてはならない。 * Yahoo!ニュース * Yahoo!ニュース 山岳事故 * 毎日新聞 * 長野県山岳連盟 |
|
2007.11.26 Mon
これから本格的な冬山シーズンに入ろうかというところ、北海道で大規模な雪崩遭難がありました。現場は十勝岳連峰の上ホロカメットク山。皮肉にも訓練山行中の遭難事故でした。十勝岳連峰は良質なパウダースノーに恵まれることが多く、近年ではスキーヤーやスノーボーダーによる入山が増えています。また、現地は雪上技術を学ぶ訓練場所として知られ、遭難となった日本山岳会北海道支部も毎年この場所で訓練をしていたとのことです。以下、読売新聞の記事より抜粋。
十勝岳雪崩、捜索で発見・収容された4人が死亡 今回の雪崩遭難は上ホロカメットク山の安政火口付近で発生しましたが、その10日前にも同じ上ホロカメットク山の山頂付近の西側斜面で山スキーヤーが巻き込まれる雪崩遭難があったばかりでした。日本氷雪学会は現地調査を行い、連休に向けて20日に十勝岳連峰への入山に対する警告を発していました。弱層が見られ、雪面は非常に不安定な状態にある、と。 降雪期の雪崩というものは、融雪期の雪崩に比較すると、雪面の状態が刻々と移り変わるという点で、予測が非常に困難です。雪崩発生の前後も降雪が続いている状況下、日本山岳会パーティーは尾根末端を通過中、雪崩に遭ったということでした。 また、死亡した4人のうちの2人を含む7人はビーコンを携行しておらず、携行していた者についても電源を入れていた人数は不明とのこと。入山目的は雪上訓練とのことでしたが、山岳エリート集団である日本山岳会による訓練山行ということが明らかに裏目に出ており、この辺りにリスクに対する認識の欠如が感じられます。訓練山行というと、経験豊かなベテランの指導の下で行われるか、または自身がベテランであるか、そのどちらかの状況が多いことでしょうが、それを背景に、訓練=安全、本チャン=危険、という錯覚が意識のどこかに存在しているようにも思います。訓練であるか本チャンであるか、あるいはベテランであるか初心者であるか等は、パーティー側にとっての都合であり、自然が人間側の勝手な都合を考慮してくれるということはありえません。そこに積雪を伴う斜面がある以上、雪崩の脅威は立ち入った人間に対して平等に存在します。経験論的に無事で済んだ結果が過去に続いていたからといって、今後事故が起こらないという保証はどこにもありません。 ビーコンが普及する前、雪山登山をする者は「雪崩紐」なる長いテープを身に付けていたこともあるようです。(雪崩遭難者が雪中に埋没していても、紐が雪上に出ていればそれを手掛かりに捜索が可能。遭難者は、雪崩発生地点から消失点の延長線上に埋没していることが大半。)ビーコンの携行はたかが保険かもしれません。しかし、それと同時に、一緒に雪山へ入る仲間に対する最低限の礼儀でもあります。ビーコンを携行しないということは、すぐ隣にいる仲間に対して「オレは、アンタが雪崩に埋没しても助けないよ」という態度をとっているのと同義です。(仲間が雪崩に巻き込まれ、雪中に埋没した場合、ビーコンがなければ如何なる対応もとることができません。ずっと前の記事でも触れましたが、埋没から15分以内の対応が生死を分けます。)同時に、ただ持参しているだけでは何の意味もなさないので、ぜひ実際に試行錯誤してみて、多少でも捜索に習熟してください。 雪山に繰り出す者のうち、どれだけの割合の者が、雪崩のリスクを認識しているのでしょうか。入山前に弱層テストを行っているのでしょうか。3種の神器を携行しているのでしょうか。セルフレスキューの対応をとれるのでしょうか。山行計画書を提出しているのでしょうか。山岳保険に加入しているのでしょうか。 * Yahoo!ニュース * Yahoo!ニュース 山岳事故 * 読売新聞 * 日本氷雪学会 北海道支部 |
|
2007.07.11 Wed
夏山シリーズということでこんなん見つけました。国内の主要な山岳地域の天気予報が載っています。直前に計画を立てるときには使えるかも。山岳気象に詳しくない人でもわかりやすいと思います。同じ地域でも、平地と山地でどれだけ天気予報に差が生じるのかという点に着目しても面白いかも。最高気温、最低気温なんかを見比べてみてください。風速が予想されてれば、もうちっと面白いんだけどなぁ。
夏山豆知識と称して、夏山における注意事項なんかも載っています。そうそう、夏山の気象で留意すべき点は、落雷、台風、夕立くらいですかね。あと、気象そのものではありませんが、熱中症や日焼けにも注意。 * tenki.jp * tenki.jp 夏山天気予報 |
|
2007.07.11 Wed
さてさて、梅雨も明ければ夏山シーズン。富士登山をされる人も多かろうと思います。7月1日、すでに富士山は山開きを迎えており、残雪の多さが心配されていましたが、何とか夏道は開通したよう。ちなみに、6月下旬の時点ではアイゼンが必要となる状況みたい。備忘録として、富士山周辺道路のマイカー規制の情報を掲載しておきますね。例年の富士スバルライン(河口湖ルート)、富士山スカイライン(富士宮ルート)に加えて、今年度は社会実験として、ふじあざみライン(須走ルート)にも規制が敷かれるようです。不人気ルートの御殿場ルートは規制なし。個人的には静かでイチバン好きなんだけどなぁ。いずれのルートも規制期間中は、駐車場にマイカーを停め、シャトルバスまたはタクシーに乗り換えて5合目へ向かう形となります。規制期間中に御来光を目指す人は、交通機関の運行時間に要注意。プラス、考慮しなければいけないことは、各ルートとも規制期間の前後の週は、規制期間の皺寄せで混雑するってことかな。以下、各道路の規制期間です。 富士スバルライン : 8/11(土)0:00 ~ 8/20(月)24:00 * 山梨県道路公社 富士山有料道路マイカー規制 * 静岡県 富士山のマイカー規制 |
|
2007.02.15 Thu
冬山シーズンも終盤、雪崩遭難がありました。現場は八甲田山系の前嶽北側斜面。八甲田山系は、パウダースキーのメッカのひとつです。昨年10月にあった白馬岳気象遭難と同様に、山岳ガイドが引率するパーティーが事故に遭いました。以下、読売新聞の記事より転載。遭難者の実名が記載されてる部分については、文を改めました。
八甲田山系で雪崩、山岳スキー客2人死亡 山岳スキーでの雪崩遭難事故でした。ガイド登山における遭難事故の過失責任の所在は、パーティーを率いるガイドにあるといって、ほぼ間違いないと思います。日本では山岳ガイドという国家資格は存在していませんが、ここで「ガイド」と示しているのは、ガイドとしての公的な資格を持つ者、あるいはガイド行為を職業としている者と限定しておきます。というのは、ガイド登山の遭難事故において、山岳ガイドの過失責任が問われた場合、「予測可能な事故であったか否か」ということに加え、「パーティーの行動判断に対して社会的責任を負っているか否か」という点が争点になるからです。ここ数年の団塊世代の離職に伴い、今後もガイド登山の件数は増え続けるでしょう。山岳ガイドの社会的責任を明確にするためにも、山岳遭難事故に関わる法整備がなされることを祈ります。 今回の事故の原因を自分なりに考えてみると「雪崩発生に対する認識の欠如」ってのが第一だと思います。事故発生の数日前に事故現場付近で新雪表層雪崩があり、事故発生当日にはその痕跡も残っていたようです。雪崩に巻き込まれたパーティーは、数日前の雪崩発生地点の近くをスキーで滑走したとのこと。雪崩発生のメカニズムは、自然発生的な要因と人為的な要因がありますが、今回の事故に関しては、そのふたつの要因が複合して雪崩が発生したのでしょう。スキー滑走とは、いわば雪面を切ること、雪面に与える影響力は雪上歩行の比になりません。リスクの高い雪面に対しスキー滑走によってダメージを与え、その結果として雪面の微妙なバランスが崩れ、雪崩が発生した。よって、事故となった決定的な原因は、山岳ガイドが「雪崩発生要因の二面性」と「スキー滑走が雪面に与える影響力」を軽視していたことだと考えるのが妥当だと思います。さらにいうなら、ある程度の斜度と積雪量さえあれば、たとえ樹林帯であっても雪崩のリスクを免れることはできないということも付け加えておきます。 安全な場所から結果論だけで物言いするのは無責任なことだって重々承知していますが、多かれ少なかれ山に関わる者としての自戒の意味も含め、敢えて記事にしました。山岳において死亡事故が起こった場合、少ない情報からも自分なりに事故を考察して、自身の教訓とすることを習慣にしたいと思ってるからです。職業ガイドであるかどうかにかかわらず、登山計画に柔軟性を持たせることが事故防止の第一歩だと改めて痛感します。最後になりましたが、遭難者の方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。 * Yahoo!ニュース * Yahoo!ニュース 山岳事故 * 読売新聞 |
|
2006.10.07 Sat
今年の秋山シーズン、さっそく気象遭難があったようです。現場は後立山連峰の白馬岳。秋山における気象遭難の原因は、秋山を知らないか、秋山を舐めているかのどちらかですね。昨日から今日にかけての北アルプス、それも北アルプスの中でも北部に位置する白馬岳、ちょっと天気図が読めれば3000mの稜線は吹雪かれるのが一目瞭然なのに、どうして強行したんだろう。。。しかも、山岳ガイドが2人も同伴していたらしいのに。ハッキリ言ってガイドの職務を全く果たせてないですねー。ビヴァークに耐え得る装備は持っていたんだろうか。。。装備と知識と体力と技術があれば、1晩くらいのビヴァークじゃ死なないはずなのに。数年前の立山の大量遭難事故の教訓が全く活かされてないですね。悲しい。以下、読売新聞の記事より転載。
吹雪の北ア・白馬岳で女性2人死亡か…2人ビバーク 実は自分もこの連休に単独で北アルプスに行こうと思ってましたが、天気図を見て計画を中止しました。自分の予想では、昨日から今日にかけて3000mの稜線は風速20m/sを超す風雪だったと思います。というわけで、自分は明日明後日と晴天そうな南アルプスに行ってきます。深夜2時出発、帰京は月曜夜の予定です。 * Yahoo!ニュース * Yahoo!ニュース 山岳事故 * 読売新聞 |











